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手紙。

20年前の別れの後、彼から届いた一通の手紙がある。
戻れない痛みを重ねて深く刻むことになった、彼からの手紙には「いつかおじいちゃん、おばあちゃんになっても、仲良く縁側でおしゃべりしながら笑いあってるような、そんな未来がくると思ってた。」と書かれてた。
私の事をどんだけ好きだとか、そんな手紙だったらきっと、私は忘れてしまっていただろうし、こんなに長く彼との別れを後悔の傷ともしなかった。
それはイコール、今の私にはなってなかった。

何度も読み返しては涙がこぼれたその手紙の話を彼にした時、「死ぬほど恥ずかしいから捨ててくれ!」と言われたけれど。
実家にしまいこんでいて、よもや私でも探し出して捨てる行為は非常に面倒だ。
それに、当時、涙枯れた後に書いた、届けないままの返事が一緒にしまわれてある。

先月、彼に振って湧いた長期出張の話し。
それで彼自身が躊躇していた時期に、「20年越しの手紙をあげる」と、したためてはみたものの、なかなか渡せる時が無くて。
その間にも会話やLINEくらいは交わすわけで。
そうこうしてる間に手紙の内容も伝えたものの中に含まれたりするから、結局彼に渡すまでの間に7回も書き直した。
そんなことを言っていたら「早く!」と手を出す。
まさか私の目の前で読む気なのかと問えば、いつも「私の事は私の責任」という私になぞって「俺の事は俺の勝手」とかなんとか……。
結局「恥ずかしいからやめてくれ!」という私を無視して読みだした彼は無口になって、突然立ち上がって物陰に隠れたかと思えば大きく息を吐いて帰ってきて、座ったかと思えば。
静かに大粒の涙をこぼし続けてた。

「俺、本気でダヤンと結婚する気やった。」

彼が泣き虫なことも知ってる。
私に似たとこもあって、強がりで気弱で。
それでも誰かのためなら、自分が傷つくことなんて厭わない。
誰にでも優しくて、それでついうっかり誤解されて、そんなだから、異性問題彼のせいみたいな話になる。
それなのに、傷つけたくなくて繰り返す、弱虫。
けど、そんな弱虫にしてしまったのは、私自身だったんだ。

「本当は長期出張、3年って言われてる。」
少し落ち着いてからポツリと溢した。
「ダヤン、待っててくれる?」
自分の音にのせた言葉を、どんなことがあっても守りぬきたい性分の私を解かっていて問う彼に、瞬間中考えて覚悟した私は「待ってるよ。その間に努力がなかったら待たんかもやけど(笑)」少しおどけて応えたのに。
また泣きだしそうになるから。

やっぱ、なんにも変ってなんかないじゃない!って、私は笑うしかなかったんだ。
結局、7回も書き直した手紙にそんな泣かせるほどの何かがあっただろうか?って、私の方が解からないのだけど……。
「結婚とかのカタチはいらない。ただ、こんなふうにいつまでも……」
言いかけた彼の真意を「また壊れるのが怖い?」と遮った。
大きく目を開けて、大きく頷いた。
合わせて私も頷くだけにした。
けれど、思う。
歳を重ねていくにつれ、身体的問題も当然出てくる時期に進むでしょう。
その時手を伸ばせない私なら、ただ、物語の一部。
綺麗な言葉を並べるだけの人なんだ。


その二日後。
何気ない会話のふとした隙間で彼は「ダヤン、もう、勝手に離れるなよ。」と言ってから振り向いて私を見るから、しっかり目を合わせた後にそらして「それでお互いの20年狂わせたからね。もう、私からは離れる予定はたてないよ。」と憎たらしく言ってみたら「離さない」とムッとした声が帰ってきた。
「なんかさ、歳とって、そのくせなんもないような生活で、それでもダヤンとやったら、やっぱ穏やかに縁側で日向ぼっことか……。」
昔の自分の手紙と被るようなこと言ってますよって、思ったら、私の方が泣きそうになったから、黙って静かに聴いていた。
恋愛小説なら、きっとここでハッピーエンドも悪くない。
けど、私たちは生きていて。
これは現実の日常の出来事で、私自身、誰かの作為的な物語なんじゃないの?って思ってしまうくらい、なんだか綺麗な恋愛話のように感じてしまう。
私にはこの心ひとつしか、アナタにあげれるものはないからねっていってるのに、彼はいう。
「その心が綺麗だから、ひとつしかないから、ダヤンなんだ。」と。
ダヤンの大事なものは、俺も大事にしたいと。

私は思う。
私たちお互いとそれぞれの困難は、もうしばらく続くだろう。
けれど、今のフタリの涙が真実なら、叶えられず途切れた未来はきっとその困難の先にちゃんと、あるよ。

そこから笑えるような20年前と変わらない甘えた彼本位のワガママなお説教が始まったから、静かに聴いたあと「お互いさまね」と笑ったけれど。
その翌日から、彼は自分の抱えたまんまのいくつかの問題処理に動き出した。

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